「和製ライカ」に葛飾の歴史 米軍占領下、区内で製造



【東京】「和製ライカ」に葛飾の歴史 米軍占領下、区内で製造
                                  2017727




米軍占領下に葛飾区の工場で造られたクラシックカメラ「レオタックス」が30日、同区青戸の淡之須(あわのす)神社(福森稲荷神社)で展示される。戦前からものづくりで栄えた葛飾の歴史の一断面を知ってもらおうと、初開催の骨董(こっとう)市に併せて主催者が企画した。 (中村信也)

製造元のレオタックスカメラは現在の柴又に工場があり、一九五九年に倒産するまでドイツの名門ブランド「ライカ」に似せた製品を造っていた。工場は戦災を逃れたため他メーカーに先駆けて生産を再開でき、進駐軍の兵士によく売れたという。
骨董市は、淡之須町会副会長で老舗せんべい店「神田淡平(あわへい)」(千代田区内神田)五代目主人の鈴木敬さん(56)が主催する。鈴木さんは「メイド・イン・オキュパイド・ジャパン」(占領下日本製)と刻印があるレオタックスの「NR3(ローマ数字の3)」を持っている。連合国軍総司令部(GHQ)の発注で作られた国内に数台しか残っていない貴重な品で、朝鮮戦争の戦場でも使われた。鈴木さんは、若い頃から骨董品集めが趣味。区の文化財保護推進委員も務め、地域の歴史を発信してきた。街おこしを目的に骨董市を開くのを機に、コレクションを紹介して、知られざる葛飾のカメラ史に注目してもらおうと考えた。骨董市は「本格骨董からジャンクまで」をキャッチフレーズに三十店が集まる。会場の淡之須神社の周辺は、鈴木さんが幼い頃はブリキ玩具などの町工場が立ち並び、いつも「ガッチャン、ガッチャン」と音を立てていた。鈴木さんは「いずれは、おもちゃの街・葛飾にちなんだ骨董市も企画したい」と話す。骨董市は午前九時〜午後五時。午後一〜二時には境内の町会館で、日本考古学協会の谷口栄さんの特別講義「発掘された古美術」がある。いずれも入場無料で、雨天の場合は特別講義のみある。
問い合わせは鈴木さん=電090(3420)6719