下がる費用 広がる機能 日経産業新聞 2002年7月18日

 東日本旅客鉄道(JR東日本)が昨年11月に導入した定期券・プリペイドカード「スイカ」。非接触型ICを用いているため、定期入れなどから出し入れせず自動改札を通過できる便利さが受けている。2002年6月末現在、発行枚数は427万枚と順調に数字を伸ばしている。スイカのシステム投資総額は450億円だが、このうち320億円は老巧化した自動改札の取り替え費。磁気を読み込むために磨耗しがちな旧式自動改札機に比べ、維持費がほとんどかからない利点がある。JR東日本が子会社化した東京モノレールにもスイカを適用。さらに、今年12月にJRと乗り入れする東京臨時高速鉄道りんかい線(臨海副都心線)でも使えるようになる見通し。乗車券類のIC化を検討中の西日本旅客鉄道(JR西日本)からも技術アドバイスを求められていることから、JR東西でスイカが共通化する可能性が出てきた。関東の私鉄・地下鉄各社は磁気型プリペイドカード「パスネット」で共通化しており、スイカ方式が一気に普及する可能性は低い。しかし、私鉄・地下鉄とも「非接触型ICを用いた方が長期的に低コストで済む」(ある私鉄社長)とみている。JR東日本旅客鉄道(JR東日本)も「他の私鉄などともスイカ共通化の話を進めている」(石田義雄副社長)としているため、将来はスイカ方式で足並みがそろうものとみられる。スイカの技術は鉄道にとどまらない。JR東日本が発行しているクレジットカードにスイカのICチップを埋め込み、駅構内の売店などで電子マネーとしても使えるよう進めている。携帯電話の中にスイカチップを組み込み、定期券や特急券を購入できるような仕組みも検討中だ。携帯電話各社と交渉中で、早ければ2004年度にも実現する見通し。スイカの機能は確実に広がろうとしている。