無線LANであふれ防ぐ 日経産業新聞 2002年7月18日

 石油業界では給油所への製品配送をIT(情報技術)を使って高度化する取り組みが加速している。オンライン受発注やタンクローリーの自動配車システムが一通り整備された今、元売り各社が重点的に力を入れているのが給油所側の従業員が立ち会わずにローリー運転手だけで製品を搬入できる「単独荷降ろしシステム」の構築だ。きっかけとなったのは1999年2月の消防法の規制緩和。それまでは「危険物取扱主任者」の資格を持つ給油所側の従業員の立ち合いが必要だ。しかしガソリン、灯油、軽油など油種違いの製品注入を防いだり、過剰給油によるあふれを防止する仕組みを導入すれば、ローリー運転手だけで搬入作業ができる。一歩間違えば大事故につながりかねないため、各社はITによる安全性の確保に万全を期している。業界最大手の新日本石油は今年3月までに20億円強を投資し、運送会社と共同で1600台のタンクローリーに特殊なハイテク装置を搭載した。ローリーのホースを給油所の注油口につなぐと、ハイテク装置が油種を自動的に感知して混油を防止する。地下タンクに取り付けた残油計測計とハイテク装置は無線LAN(構内情報通信網)でつながる。在庫量をリアルタイムで把握、納品数量を自動管理するとともに、過剰給油によるあふれを防ぐ仕組みだ。7月に六給油所で単独荷降ろしを開始し、今後3年で2千給油所に広げる計画だ。エクソンモービルグループでは330カ所、出光興産は43カ所の系列給油所でシステムを構築し、既に単独荷降ろしを開始している。エクソンは来年6月までに1000カ所、出光は2004年3月までに550カ所に拡大する方針。単独荷降ろしシステムが構築できれば、やかんなど営業時間外の無人給油所への配送が可能になる。人件費を削減しローリーの稼動率を大幅に引き上げることができ、年間数十億円のコスト削減につながるとの試算もある。IT面の競争力を高めることが、系列給油所の勝ち残りの重要なカギになってきた。