最適生産計画を策定 日経産業新聞 2002年7月18日

 製鉄所は多種多様な鋼材を生産している。自動車、家電など顧客ごとに鋼の成分やサイズが異なり、鋼板、鋼管、形鋼など形状も千差万別。さまざまな仕様の製品を最も効率的に生産するシステム作りに情報技術(IT)が生かされる。川崎製鉄の水島製鉄所(岡山県倉敷市)では製鉄、圧延、表面処理など工程ごとに操業状況を逐次把握し、製鉄所を最適運営する「MAPシステム」が稼動中だ。各工程の処理能力はどんな製品を作るかによって変わる。能力差を無視すると工程間で半製品が滞留し多量の仕掛かり在庫が生まれ、納期も遅れる。MAPは生産品目ごとにどの工程がボトルネックになるかを割り出し、そこを起点にして全体を最適化する生産計画を策定する。NKKは遺伝的アルゴリズム(計算手順)を応用し、製鋼工程の最適な生産計画を短時間で策定するシステムを開発、今年、京浜製鉄所(川崎市)で使い始めた。生物の遺伝プロセスをまねた方法で、設備の稼動時間帯や製造時刻の要望など条件変化に対応しつつ、所定の納期や生産性も満足させる。従来な1日分の計画を3時間かけ手作業で作っていたが、新システムは1週間分を20分で自動作成できるようになった。システム開発力を製鉄所のシステム投資低減に生かす事例もある。新日本勢鉄は昨年、高炉のプロセス制御に無償基本ソフト(OS)であるLinuxを搭載したパソコンシステムを開発し、君津製鉄所(千葉県君津市)第3高炉に採用した。Linuxは核となるプログラムが無償で公開されているうえ、パソコンで対応できる。従来の専用のコンピューターとOSで構成するシステムに比べ、システム構築費用は半額で済む。同様の開発はNKKも力を入れている。コスト削減に向け他の鉄鋼大手でも追随する動きが出てきそうだ。