超小型機械使い投資抑制 日経産業新聞 2002年7月18日

 フィリピンのスーピック湾を臨む工業団地にある三協精機製作所のモーター工場。5月16日、アロヨ大統領らフィリピン政府要人も出席し、工場披露武典が開かれた。同工場は三協が「次世代の物作りへの挑戦」(小口雄三社長)と自負する超小型の加工・組み立て機械を駆使するデスク・トップ・ファクトリー(DTF)。秋にはDTFの第2世代のラインが稼動する。フィリピン工場はハードディスクの動圧流体軸受けモーターを生産している。現在稼動中の第1世代はクリーントンネルと呼ばれる清浄な空間の中を流れる製品を作業員が組み立てる。第2世代は自社開発の超小型組み立て装置をつなげて工程を無人化、装置の内部をクラス100以下の精浄度にして外部と遮断するため、装置の外はクラス20万の清浄度ですむ。巨大なクリーンルームや洗浄用の純水の製造プラントが必要なく、設備投資を抑制できる。維持費は従来型工場の年間700万円が135万円に、作業者は12人から1人に減る。1つ1つの組み立てに装置の設置面積はA5判サイズ。占有面積は5分の1以下、使用エネルギーは50分の1になる。小口社長は「国内空洞化に対して日本のもの作りをどう考えるか。短期間に開発し、中国より安く、省エネ・クリーンな環境で微細・高密度の加工をするという課題にDTFは答える」と話す。三協はさらに第3世代のDTFを計画している。組み立てだけでなく、部品を加工する超小型工作機械を自社開発し、部品作りから全工場をDTF化する構想だ。三協はDTFを使ってこれまでにない新製品を開発、また、DTFを構成する超小型機械を国内で量産する計画。自社工場に設置するのと並行して、医療・バイオ分野や光・センサー分野などの開発型企業と協力して、新たな分野へのDTF応用も模索している。