唯己一人



第一のものは百万中に一つなり。たはぶれ人の一生に一眼でく会うか会わぬか兼ねあひなり。文字にならず写真にならず他人に分からず。ひたすら唯己一人のものなり。このあたりを骨董の奥と謂うべし。一眼手に抱きて命流るる想ひあり。
        青山二郎 談