先代

新年は極上の酒で迎えたいもの、そこでお勧めなのが日本最西端の与那国島で醸される酒、「先代」。
入波平酒造渾身の作で2004年頃にリリースされた、「先代」とは現在の杜氏入波平浩伸さんの父こと、先代最後の仕事が商品化されて世に出たと言う事らしい、先代に対する尊敬の念と愛情が丸々ボトルに詰まっているような酒である。
もちろんそんなロマンチックな理由だけでこの酒を勧めるのではない泡盛古酒としても最高の出来なのだ。
深い香りと旨味成分からくるほんのり甘い舌ざわりと濃厚な味わい、これだけだったら大手の泡盛古酒と同じ事だがこの酒にはプラスαなにか大いなる力が働いたような形容しがたい深みがある。
大手は巨大なステンレスタンクで熟成させるので確かに香り豊かで旨味成分抜群の上等な泡盛を造るがそれ以上の何かが無い。
それに対してこの「先代」はプラスαに満ちている、蔵付菌の作用なのか熟成させる壺に宿る何かなのか?
小さな島で醸される酒は総じて旨いような気がする、与那国に限らず石垣島や壱岐の酒、八丈島などにもうまい酒がある、ジャンルは違うがスコッチウィスキーなども知る人ぞ知るモルトはオークニー諸島やアイラ島の小さい蒸留所で醸されたものが多い、どうやらサムシンググレートは島住まいな様でここらあたりが「先代」の旨さの秘密かもしれません。
島酒が旨い事は有名なソムリエ田崎真也さんも気付いていて関連書籍を著した、この本も面白いので酒とともにお勧めです。




                                   出版社 : 実業之日本社
                                      2008−12−25