沖縄研究 No6
 

沖縄の産業と市場

本土復帰後の30年間に6.6兆円の事業費が投じられ、道路、港湾の社会資本が整備されてきたが、この間、日本経済が低成長へ移行したほか、企業もグロ−バル化の流れの中で中国等のアジア諸国へ進出したことも有って、沖縄県も民間企業誘致が思うように進展していない。

  

産業別生産額(平成11年度)          (単位 億、%)

 

沖縄県

全国(構成比)

 

金額

構成比

 

第一次産業

786

2.2

1.4

第二次産業

6029

17.0

28.1

       製造業

1958

5.5

20.7

       建設業

3928

11.0

7.3

第三次産業

28751

80.8

70.5

     卸売り 小売業

4406

12.4

13.9

     不動産業

4024

11.3

12.2  

     運輸 通信

2569

7.2

6.4

     サ−ビス業

8424

23.8

18.8

合計

35565

100

100


 3K(基地 観光 公共事業)経済

 県民所得統計から沖縄経済を需要項目別にみると、個人消費が全体の59%を占めているほか、公共投資35%、民間設備投資12%、住宅投資5%の順となっている。 
こうした中、観光収入の5千億円が過半を占めている。
また、沖縄県は日本全国の米軍基地の75%が集中しており基地関連収入(軍人・軍属消費支出、軍雇用者所得、軍用地料の合計)も2千億円と県内総支出の5%に達している。
このように沖縄は、公共投資、観光、基地収入の3つの頭文字をとり3K依存型経済と言われている。 


 特色有る中小零細企業群

 沖縄県の総企業数は約7万社(平成11年)であるが、このうち上場企業は5社しかなく、さらに従業員300名以上の大企業は43社と少ない。
小規模事業所は61.056社、全体の84%のウエイトを占めており、全国平均の72%を大きく上回っている。
事業所数を業種別に見ると、卸小売・飲食店が3万4千社、サ−ビスが2万社、建設が5千社と多い。
復帰後の変化を見ると、卸小売が平成2年をピ−クに減少に転じているのに対し、サ−ビス、建設が大幅に増加している。
平成2年以降の小売業事業所の減少は本土資本の大型店(西武百貨店リュ−ボ−・ジャスコ・ベスト電器・カメラのキタムラ・ツタヤ・等)やコンビニエンスストア−、吉野家等の沖縄進出と連動しており県内小売業の構造的変化が起きた為である。
面白みの無い平均化現象を避ける意味でも今後 沖縄県の個性豊かな中小企業群の活躍が期待される。



 最後に那覇は現在、日本一の人口密度を誇る地域であることも付け加えておきたい。
平方キロメ−トル当りの人口密度は8.300人であり、さらに軍用地を除いた実質的な値は12.000人である。
那覇市と同じ人口規模の日本本土都市の12倍、さらに東京の5.000人、大阪の4.000人と比べても3倍近い高密度である。
しかし、一方においてこの密度は、30万規模の都市であるにもかかわらず、5060万都市と同じ規模を持った雰囲気をかもし出すのである。
これは、沖縄において那覇が極度に集中した一点拠点型都市(プライマシ−・シティ−)であると言うこと、軍用地が市域面積の三分の一も占拠しているという特殊な事情なども起因している。

                     

全国人口と沖縄の比較           沖縄県統計年鑑 沖縄県政のあらまし

   区分

基準

  沖縄県

 対全国比

  全国

総人口

平成12

101

1.318.220

1.04

126.926千人

人口密度Km2

   “

580

170.6

340

出生率 千人当

   “

12.8

134.7

9.5

死亡率 千人当

   “

6.1

79.2

7.7

人口増加率

   “

0.79

2.7

0.29

自然増加率

   “

6.7

3.7

1.8

社会増加率

   “

0.27

 

 

年少人口割合

0歳〜14歳)

   “

20.05

137.8

14.55

老齢人口割合

(65歳以上)

   “

13.85

79.87

17.34

 上記表の通り 出生率は全国平均を34.7%上回り 死亡率は全国平均の79.2%である。
年少人口(0歳〜14歳)が全国平均の137.8%であり、老齢人口割合(65歳以上)は全国平均の79.87%である。
すなわち沖縄県は人口増加率が高く 年少人口が多い若く活力有る社会であると言える。
元気なお年寄りが多いために年寄りの多い県であると言う俗説は間違いであることが良くわかる資料と言えるだろう。


都道府県の人口と県庁所在地の人口

 都道府県名

人口 (人)

県庁所在地

県庁所在地人口

北海道

5656399

札幌市

1849918

青森県

1460606

青森市

297890

岩手県

1401774

盛岡市

287993

宮城県

2369092

仙台市

1022503

秋田県

1168831

秋田市

318100

山形県

1230390

山形市

255798

福島県

2112785

福島市

106773

茨城県

2990095

水戸市

248099

栃木県

2009212

宇都宮市

449170

群馬県

2031030

前橋市

284876

埼玉県

7025412

さいたま市

1054717

千葉県

6015106

千葉市

911114

東京都

12343255

新宿区

297654

神奈川県

8668586

横浜市

3524358

新潟県

2456450

新潟市

529648

富山県

1116509

富山市

325702

石川県

1178492

金沢市

456838

福井県

826894

福井市

250066

山梨県

887404

甲府市

190098

長野県

2213037

長野市

364200

岐阜県

2113904

岐阜市

404449

静岡県

3787552

静岡市

704133

愛知県

7146518

名古屋市

2192187

三重県

1863294

津市

163627

滋賀県

1363387

大津市

296998

京都府

2644814

京都市

1466244

大阪府

8826422

大阪市

2625989

兵庫県

5584081

神戸市

1514960

奈良県

1435035

奈良市

365203

和歌山県

1057814

和歌山市

382058

鳥取県

610988

鳥取市

151582

島根県

753509

松江市

152588

岡山県

1949896

岡山市

628712

広島県

2876786

広島市

1137610

山口県

1513149

山口市

142519

徳島県

818624

徳島市

267410

香川県

1020364

高松市

333609

愛媛県

1482185

松山市

477610

高知県

807272

高知市

332568

福岡県

5045895

福岡市

1378925

佐賀県

871497

佐賀市

167176

長崎県

1500930

長崎市

418707

熊本県

1854130

熊本市

658453

大分県

1216234

大分市

441541

宮崎県

1162225

宮崎市

308122

鹿児島県

1772774

鹿児島市

554551

沖縄県

1344358

那覇市

307405

全国

127584996

 

 


次に沖縄県は地方都市であるために人口の少ない田舎町と考えている人が多いようだがそれも上の表を見ていただければ間違いである事が解る。
(自然が多く南国の楽園などと無邪気に考えている人が想像以上に多い)
上の表を見ていただければお解りの様に、総人口、那覇市の人口共に全国の都市に引けをとらない。
むしろ中堅どころでは大型の都市といえる。
更には前記したとおり人口密度において日本一なのであり町の活気は相当なものである。
更には沖縄県の場合、年間500万人を超える観光客が季節に関係なく訪れ、これも町の活気に結びついている。常夏の島 沖縄県のイメ−ジが強く意外に思われるかも知れないが、沖縄県への観光客が一番多い季節は秋口から冬にかけてだそうである。