偏心 

沖縄県で最初の人間国宝、金城次郎の作品は他に類のない独特な作風で人気が高い、意外と数もあり入手しやすい逸品ではないだろうか。
金城氏は陶芸作家というより職人である事に強い誇りと拘りを持っていた人なので市場の作品量をコントロールすると言ったような事は一切せずに求められるままに作陶した結果である。
金城次郎作品は次郎本人の作品と言うより金城窯の作品と言うべきであり奥さまや子供、孫が作ったものが次郎作品として流通する。
そんな中、明らかに次郎本人の手になる物は沖縄県でもなかなか見つけられない、見る人が見れば一目瞭然な次郎作品はすでに収まるところに収まっており市場に出たとしても高値で取引される、素人が見れば同じようなものが倍以上も違った値段をつけていることを不思議がる人も多いのである。
それでは宝永堂御主人から教わった次郎本人の作品を見分けるポイントを一つだけお教えしましょう、一番下の写真を見て頂きたい高台内の削りが偏心しているでしょう、これは次郎本人の作の証だそうです。
雑器には全く神経を使わなかった次郎ならではの作品、こうした浮世離れした人だからこそあれほどの作品群を作れたのです。
最近はみんな利口に優等生になりすぎたんですよ、だから芸術の世界に面白いものが無くなってきているのです。





                                  2009−8−17