アメリカン No1
 国道58号線に面したアメリカ空軍、カデナ基地の正門の1km程那覇よりに、アメリカンNo1と言う店名のサープラスショップがある。店内は工具類、機械部品、電気製品、光学機器、衣料品などが山積みで足の踏み場もない。サープラスショップと言うと、本土ではカジュアルショップ、Tシャツ屋のイメージがあるが、この店は沖縄に点在する、米軍より放出された様々な軍事物資を生活用品として売る、本来のサープラスショップである。米軍の中古品のみを扱うリサイクルショップと考えればよい。これらの放出品は、戦後焼工と化して極度に物不足に陥っていた沖縄で、文字通り宝の山であったのである。したがって、これらの品々は沖縄の人々に驚きと感謝をもって迎えられた。
 世界最大の輸送力を持つ組織は、DHLでも黒ネコ大和でもない、米軍である。終戦と同時に米軍は、大量の物資を一夜にして持ち込んだ。かつての敵国でありながら、その圧倒的な物量に対する敬意の念が、店名に現れているのである。中古品とは言え、高品質の数々の製品は、沖縄の家庭に無くてはならない物となっていった。扇風機、食器、バケツ、オイルタンク、工具など、どの家庭でも使っていたそうである。店主は一山いくらで何でも買い付ける。それらの中には、高額で売れる物も少なくなかったようだ。こわれている物は自分で修理して売る。直しきれない物は、専門の修理人に売るようである。過去にアメリカンNo1で見た数十台のニコノスT型を、数ヵ月後光精堂で見た事があるのである。こうしたリサイクル市場が成り立っているのである。アメリカンNo1で最近多く目に付く物がパソコンである。特殊な物が多く、買う人がいるのかどうか心配になる。
 ある日店主は、コンピュータ基盤をハンダ付修理していた。どこで身に付けた技術か、何でも一通りこなしてしまう様である。店主はかなり年配の方とお見受けするが、勤勉なのである。プロのサープラス屋としての長年の気質なのだろう。