山中塗 蒔絵師

小川さんの古い友人が山中塗の蒔絵師をしています、そんな御縁から今回の旅行は山中塗の全行程を見学する機会に恵まれました。
観光施設ではない本物の製作現場は言われなければ通り過ぎてしまう様な普通の民家で行われておりました。
海外ではチャイナが陶磁器を意味し、ジャパンは漆器を意味します、それほどまでに我が国を代表する手仕事の匠達に御会い出来た事は今生の幸せでした。

漆工芸の華、蒔絵師です。
我々が目にするのは一番表面を飾る蒔絵師の仕事、悪く言えば良い所取りの蒔絵師ですが、実は漆産業は多くの職人と問屋が一つになり出来あがる世界なので誰誰がどうしたこうしたではないのだそうです。
蜂の世界は完璧な役割分担で出来上がるエージェントの集合体の様に見えますが、ある生物学者が言うには巣全体で一つの生物と考える方が腑に落ちる事が多いと言います。
蜂の巣は外敵が侵入すると数匹の働き蜂が身を呈して排除しますが、これは女王様の為に殉職したと言うよりは外敵と戦って体の一部を怪我した感覚なのだそうです。
話が脱線している様ですが漆業界はまさに蜂の巣の様な世界です、そのせいかどうかは解りませんが蒔絵師は作品に自分の銘を刻む事は有りません、なぜなら作品は一人で出来上る物ではないからです。

熊鼠の毛を使う極細の筆は現在入手不可能な物、在庫が尽きればこの業界に激震が走ります、蒔絵師は自分の代の分は確保済みですがこれも代々の家柄ならばこそ

それでは作品を見て頂きましょう 大きな写真を贅沢に使います













百万円以下の物は一つもない様です

   2015-6-9