歌川派と歌舞伎

歌川派と歌舞伎、4月6日まで足立区立郷土博物館で開かれた展示会です。



江戸時代の人たちは何故こんなにも歌舞伎が好きだったのでしょうか、永井荷風は「江戸芸術論」で次のように言っています。
「古今東西の歴史を見るも実に江戸時代におけるが如く公衆の俳優を愛したる例証はこれあらざるべし。江戸の市人は俳優に対して不可思議なる情熱を有したり。彼らはただに演劇を見て喜ぶのみならず更にこれを絵画に描きて眺め賞したり。」
以上永井荷風の言うように浮世絵に出てくる役者や風俗など江戸文化の最たるものと言う感じがします。
しかし私はこうした展示会を見る時いつも勘違いしないように用心するのですが、我々が普段極めて江戸的だと思う様々な文化は嘉永、安政文化、すなわち幕末の江戸文化だと言う事です。
歌舞伎、浮世絵、紀行ものの小説、鮨、天麩羅、蕎麦などの濃い口江戸前料理、それに粋なお兄さんの刺青ファッションは幕末の浮世絵師歌川国芳のデザイン世界、これらすべて幕末に興った事で史学的には明治時代と言った方が良いものすら有ると思います、ある学者は東京の町から江戸的な物がすべて消えたのは関東大震災の後だと言っていたのは面白い見識でした。
江戸時代は三〇〇年程有った為に前期中期後記で全く違う時代なのだと心得てこうした展示会は見るべきです。
それでは江戸初期はどういう時代だったかと想像すれば、街づくりの公共事業に湧く京都文化に憧れた都市と言う事だと思います。









   2015-4-7