タイムラグ
デジタルカメラを使用してみて一番“使えないなー”と感じる点は、レリーズタイムラグである。
レリーズタイムラグとはシャッターボタンを押してから実際にシャッターが落ちるまでの時間差である。
これが今のデジタルカメラは0.3秒ほどであると言われている。
0.3秒と言うと問題無さそうに思うかもしれないが、例えば運動会などでゴールの瞬間を撮ろうとしても不可能だ。ゴールを狙うカメラマンの(お父さんカメラマンでも)集中力はすごい。
0.3秒は永遠に感じるだろう。
そして出来上がる写真はゴールをはるかに過ぎた子供の写真なのである。デジタル・アナログを問わず、レリーズタイムログが一番短い機械は、独製カメラ、ライカであると言われている。
構造上(理論上)タイムラグは0なのである。
一眼レフではキャノンF−1が一番速い。しかしミラー上昇分の時間はライカにおよばない。電子制御の銀塩カメラはCPUの起動時間分メカニカルカメラにおよばない。そしてデジタルカメラは致命的に遅い。
なぜデジタルカメラはこんなに遅いのだろうか。
日経トレンディーに次のような解説があった。

 
デジカメでは、CCDがフィルムの代わりに光を受け止める。光はCCDから情報として取り出され、LSIへ渡る。それはタイミングジェネレータ(TG)という回路がかかわっている。TGは、CCDが情報を外へ取り出すような働きかける信号を出す。しかし問題なのは、TGが、シャッターの動作と全く関係なく、定期的なリズムでその信号を送っていること。シャッターを押した瞬間と、信号が出る瞬間には、時間差が生じてしまう。「レリーズタイムラグ」と呼ばれるズレだ。
このズレは一般的なデジタルカメラでは、0.2秒〜0.3秒だが、エクシリムではこれを0.01秒まで縮めた。ほぼ、押した瞬間の画像が撮れるようになったといっていい。
「これまではTGはCCDとセットで、CCDメーカーから買っていたのですが、エクシリムではLSI側にそれを取り込んで、独自に開発しました」と中山。しかし、と付け加える。「実はこのLSIの原形は、00年6月発売の『XV-3』から採用していたんです」
「(LSI改良など)ハードの工夫はなくても、ソフトの改良で、0.3秒を0.05秒まで小さくすることはできるんです。実際にそうなっている他社の商品もあります。ところがうちはハード的には0.01秒が実現できる状態だったのに、ソフトの工夫ができていなかった。両方が揃わないと0.01秒にはならないんです。高画素化などそれ以前の問題で手一杯になっていて・・・・・」

 カシオ計算機の技術者の話である。
 ソフトウエアーの改良でレリーズタイムラグが短くなる。
 素人にはなかなか理解できない感覚である。
 技術者は続ける。



XV-3 はそもそも、起死回生の一発であるはずだった。本来は99年4月、「200万画素のスタイリッシュデジカメ」として、他に先駆けて小型・デザイン性を売りにしたモデルを出し、挽回をしようと考えていたのだ。「200万画素でのスタイリッシュ」といえば、思い出すのはキャノンの大ヒット商品イクシ・ジデタル。00年5月の販売だから、カシオは一年前に同じコンセプトを考えていたわけだ。
しかしそれは実現しなかった。「高度な技術のLSIにトラブルが起こり、結局一年遅れてしまった。あそこで出せれば、イクシの一年前ですから、市場の流れが変わったかもしれないのに」と中山。世界一のカメラメーカー・キャノンが、サッカーの中田英寿を起用して大宣伝を打ったイクシの前に、XV-3(300万画素での発売)の姿はなかった。「一つの遅れが大きく尾を引いた」。中山は述懐する。
エクシリムこそ、真の起死回生でなければならなかった。今度はソフト、ハードとも見直し、速さを実現した。

以上


最近のヒット商品 暑さ1cmのデジカメEXILIM(エクシリム)について熱く語っている。