手慣れの美 9

柳宗悦の民芸思想の根幹と思っている「手慣れの美」。

「真の創造は元を忘れた所にあった。繰り返しの結果は
草を想わずして草を描き、鳥を想わずして鳥を描く。
遂には牛を想って馬を描く。元を忘れた所に新しい命が芽生え出た。
これが凡ての民画の共通の性格だった。行灯皿の絵は無意識の所産であり、
無意識からのみ生み得た絵だった」(雑器の美 柳 宗悦)
                 引用資料    別冊 太陽 柳 宋悦 

昨年の12月、富岡八幡宮の骨董市で手に入れた中国の盃です。
煎茶を喫した物か?白酎を酌んだ物か良く解らないけれど、虫みたいで可愛い龍の文様が腑に落ちました、清代の後期あたり物のでしょうか、この手の物はまだまだ沢山あるようです。
最近の骨董市は商売で来日している中国人バイヤーが多いようですが、この人たちはこうした物には目もくれずに、玉器や硯、判子の材料、官窯風の青華などに血眼の様です。
この盃を購入した骨董商曰く「中国人は文化大革命で、古い物を愛する伝統は途切れているんだよね。最近になって勉強しているから誰でも見に行ける博物館にあるような有名な名品はよく勉強しているんだけれど、こうした民窯の洒落た面白さは解らなくて、むしろ我々が色々教えてやってんだよ」








           2017-9-12