すみだ北斎美術館

開館三週目に伺いました。
平日の昼過ぎ空いている時間を狙ったつもりがご覧のあり様、チケット売り場は長蛇の列です。
三週間で入場者三万人は区立の美術館としてはすごい数字ですね、それもそのはず明治時代に海外に流出して行方不明だった肉筆画が昨年ササビーズのオークションに出品され、墨田区が落札し百年ぶりの里帰りを果たした「隅田川両岸景色図巻」が展示されているのです。
この絵巻どこが凄いのかと言えば、数ある北斎の肉筆画のほとんどが贋作とされ真作とされる物も確固たる証拠がない中、隅田川両岸景色図巻だけは製作年代も依頼者も、そして制作場所まで解っている正真正銘な世界唯一の北斎肉筆画なのです。
これだけでも世界屈指の美術館と言えるでしょう、開館三週間で三万人の来場者は少ないぐらいです。
さてこの美術館、一階でチケットを購入後、エレベーターで四階まで行き四階三階が展示室、三階からまたエレベーターに乗り一階出口へ行かなければなりません(階段なし)。
チケット売り場以外にも二度行列しなければならないわけで、どうしてこの様な面倒くさい設計をされたのか腑に落ちませんでした。
盗難除けにしては手が込みすぎです、ところが美術館前の公園で公衆トイレを借りたところトイレの横に海抜0,7mの表示を見つけすべてを理解したように感じました。
ここは東京低地、万が一の水害に備えているのです。
百年に一度いや千年に一度かもしれませんが、水害でも失ってはならない物、まさに北斎肉筆画「隅田川両岸景色図巻」がそれです。
日本人のアイデンティーの為に消失できない物は多いですよね、そんな訳で公立博物館美術館は殆どが高台に有るんだと妙に納得して暮れ行く墨田の夕日を眺めていました。

隅田川両岸景色図巻の一部↑



北斎美術館



チケット売り場は場外まで行列

正面の北斎通りは葛飾北斎一色









海抜0,7mの表示↓

    2017-1-7


待ちに待った「すみだ北斎美術館」がいよいよオープンです。
遅れに遅れる事、三年以上でしょうか、小布施の北斎館をプロデュースした古美術商がキュレーターとしてかかわったようですが浮世絵の代表作の本物は市場に残っておらず大いに苦労したようです。
素人考えで今更、北斎美術館など無理なのではと思っておりましたところ流石は有名なキュレーター、逆転満塁ホームランを打ってくれました。
アメリカの有名なコレクター、ピーターモースのコレクション600点以上の一括購入に成功したようです。
これ以外にも楢崎宗重博士のコレクションも譲り受けたようで世界に誇れる美術館としてオープンです。
時間をかけて苦労したかいがあったようです、墨田区すごい、そしてお金持ちですね~!!今から楽しみです!!

   2016-9-1