シーガル
 中国製品が市場を席巻している。コストパフォーマンスの高さでは、今や世界一の中国製品。これで市場に受け入れられない訳がない。電気製品のほとんどは、中国製であるし、オートバイなどでも次第に中国製品がシェアを伸ばしている。しかしこれらの大半は中国に工場を持つ日米欧の企業が造り出す物で、生粋の中国企業はどの程度の実力なのであろうか。
ハイアールやレジェンドなどすでに世界市場に打って出た、中国国有企業はアメリカなどの市場で着実にシェアを伸ばしているらしい。我国は、これらの激安のTVやDVDを水際で阻止している様なので、なかなか手に入れるチャンスがない。新聞では、日本製低級機に遜色なしと言っているが、本当の所どうなのだろう。
日本で手に入る中国国有企業(ブランド)の製品を紹介する。一眼レフカメラ、シーガルDF5000である。上海海鴎有陏公司が製造する最近型で、2002年1月銀座レモン社で本体、レンズ、パワーワインダー3点セット29,800円である。
上海海鴎有陏公司は、カメラ製造の老舗である。1950年代にはライカコピー機をすでに製造している。日本のメーカーとそれ程違わない歴史を有しているのである。長い間カメラに刻印されるブランド名は海鴎と漢字であった。これが面白おかしく、激安でもあったので1980年の中国旅行の際、数台買った思い出がある。(1台日本円で7000円でした。)1997年頃ブランド名がSEAGULLと横字文に変り、去年の新型DF5000ではなんとルイジコラーニにインダストリアルデザインを依頼している。WTOの加盟の年、シーガルも世界レベルの外観を手に入れた。最近の中国企業のガンバリの一例である。さて構造設計はどうだろう。これは残念ながら誇められる物ではない。1978年の日本製、キャノンAE1に準ずる性能で、構造はミノルタ×700のコピーである。(ミノルタMDマウント)品質はロシア製程ではないが最悪で、パワーワインダーと本体の間に接触不良がある。レンズもしっかりとロックされず、マウントの精度が甘い様だ。総じて、今日のカメラ技術から30年遅れていると言ってよいだろう。これが中国国有企業の本当の実力である。PCやCDなら世界中から部品を購入して、ソフトはコピーしてしまえばよい。冷蔵庫や洗濯機のシェアも高い様だが、これらは30年前の技術でも良い物が造れるだろう。ところが精密機械と言われる物造りでは、こうはいかなかったのである。
今までもそうであったように、今後も急速に、中国企業は力を付けるだろう。しかし今の時点での“何もかも中国で物造りが行なわれる様になる”と言った中国脅威論は的を得ていない。まだ少し時間がある。さて引き離すぞ!我々日本人を本気にさせたらどうなるか思い知るがいい。
(カメラ1台でここまで語りますかねー。)