レンズ不足

急拡大するデジタルカメラ市場、及びカメラ付携帯電話によって、レンズ不足が表面化している。
デジカメ用レンズのOEM供給で事業が拡大しているレンズ製造大手タムロンの小野宇社長は、日経産業新聞のインタビューに次のように答えている。
「フィルムを使うコンパクトカメラは最盛期に世界で三千五百万台だった。デジカメはさらにパソコン習熟者で今までカメラに縁が薄かった人も買うので二千万台が上乗せされ、総計五千万台まで行くだろうと昨年までは考えていた。だが最近はもっと伸びるのではと思い始めている。2002年は世界出荷が前年比66%増の二千四百五十万台と異常な伸びを示した。これは単にフィルムからデジタルへの製品シフトでは説明できない。一家に一台だったカメラが、デジタル化で個人に一台になった。個人商品としてはカメラ付携帯電話が伸びるだろうが、携帯とデジカメを合計して一億台の市場があるとも思える。」
以上の様にたいへん活況を呈するデジカメ業界である。
レンズ不足も深刻で内外の工場はフル生産だそうである。
ほんの数年前までは、レンズ専業メーカーは途上国の追い上げと、一眼レフカメラそのものの販売不振から、廃業寸前であった事を考えると、隔世の感である。
デジタルカメラはフィルムカメラの市場をそのまま引き継ぐだけではない。
アナログ画像と違うデジタル画像を扱うデジタルカメラは、画像をデーターかしている訳で様々に加工する事が容易なのである。
フォトショップを使って手軽に出来る補正や編集はもちろんの事、パナソニックのOCRソフト読取革命を使ったテキストデーターとしての読み込みなど今までのカメラとしての使い道を越えたところにデジカメは存在している。この用途の拡大こそが出荷台数においてフィルムカメラから買い替えの需要だけでは説明つかない大きなものになっている理由なのだと思う。
レンズから入る一瞬の光を絵として記録する銀塩フィルムカメラと、データーとして記憶するデジタルカメラ。
両者は似て異なるものである。