これでライカと同等です

小谷カメラ修理屋健在の頃、TOWER3型を修理に出した事がある。
TOWER3型とは1950年前後、日本のメーカー、ニッカカメラがアメリカの商社に相手先ブランドで製造、輸出したライカコピー機である。
同じ物が日本ではニッカ3型として同時期に発売されている。
中古市場において、ニッカブランドの物よりTOWERブランドの物の方が多い様に感じる。
主にアメリカに輸出する事で生業としていたのだろう。
このクラスのカメラは日本国内では、まだまだ贅沢品であり右から左に売れる物ではなかったのである。


話は少しそれるが国民総生産における輸出の比率を輸出依存度と言う。
戦後一貫して輸出に力を入れ、貿易立国として経済大国の道を歩んだ我国であるが、意外にも、輸出依存度は、戦後は戦前の我国の半分なのだそうだ。
つまり日本は基本的に内需によって経済発展をした。
少し考えれば解る事だが、敗戦によってすべてを失った日本。
更には戦時中、あらゆる民間の物資を軍部に供出せざるをえない政策によって文字どうりすべてを失った国民。
元々なにもなかった農村も含め、これら大量の潜在需要が爆発することによって経済発展をとげた一面もあると言いたいのである。
洗濯機の次は冷蔵庫、次にテレビ、次に車と絶え間ない民間需要があった。
今日、民間の消費がふるわないと言う。
人があまり物を買わなくなった。
このことがいかに深刻な事態であるか肝に銘じるべきである。
日本は今、大きな産業構造の転換期にあるのである。
話がだいぶ脱線しました。
えーと、、、、、なんの話でしたっけ。
そうそうTOWER3型ですが、私の所有する物がかなりくたびれて、へたっているのでオーバーホールしようと小谷カメラ修理屋へ持ち込んだのです。
この頃の日本製機械カメラは、スプリングの品質が悪かった為に、いわゆるへたると言うか、くたびれてしまっている状態の物が多いいのである。
壊れているわけではないが、また使用を続けたとしても壊れてしまう訳でもないのだがなぜか放っておけずに修理にだした。
バルナック型ライカのコピー機である。
TOWERはライカと部品の交換性がある程度まったくのコピー機である。
世界一修理しやすく、消耗品部品の無い本機はカメラの最高峰である。
つまりは修理が必要な場面はあっても必ず直すことが出来る文字通りの一生物なのである。
分解掃除を行い、スプリングを交換すれば修理は終わる。
TOWERを引き取りに行った時、小谷氏は言った。
「バネを今の物に取り換えたときました。これでライカ以上だよ。」