Power Mate

 (USB AUDIO CONTROL & INPUT DEVICE)

 パワー・メイトは、デジタル時代におけるアナログ派、最後の抵抗である。(面白い商品ですよ、これは)パソコンでの音楽再生時、ボリューム調整はディスプレーに映し出された操作画面をマウスでクリックするのが標準である。
  パワー・メイトはこのパソコン文化の中に高級オーディオ機器のみが持つ操作感覚を移植出来る。ボリュームのツマミなのだが、写真を御覧いただければおわかりの通り、金属塊を削り出した高級感あふれる物だ。使用感は遊びの無い高い工作精度からかシットリとしたヌメリ感覚、程好いトルクの回転を得る。

 

 PCとはUSB接続で、ボリューム調整だけは、数百万円のAV機器の世界である。

私はこの製品が機能を提供しているのではなく、使用感を商品としている点に面白さを感じている。

機能のみの提供なら付属のマウスで充分である。

  人は常にその商品の本来の性能や機能とは別の所に、価値を見出してしまうのである。

例えば、CADで解析された最先端の構造によるモノコックボディーがドライバーにあたえる安心感よ

りもドアの開け閉めで金属どうしがぶつかり合うある種の重厚な感触にその車の強度を感じたりし

てしまう。しかしこれは本来この車の持つ工学的な堅牢性とは無縁の事だろう。例えばライカの持つ

使用感が工業製品として究極の成熟だと言う人がいる。気持ちは100%理解出来るが、これは写真

の出来とは無縁の事だ。パワー・メイトが商品として提供しているものの本質は何なのか?

ブランドの価値の重要性が再考されている昨日。日本の製造業は今一度この事について深く考えて

みる必要がある。