日経産業新聞 2002年11月20日の記事です。
携帯端末用カメラ部品 供給増えず高止まり
  携帯電話機に搭載するカメラ部品の大口取引価格が高止まり

している。今秋からカメラ搭載機種が急増するのに対し、供給が

追いつかないためだ。携帯電話機用カメラ部品はデジタルスチルカメラ

向けに比べて小型・省電力が求められ、歩留まりが低いことも品薄に

拍車をかけている。品薄状態が解消するのは来年1-3月期以降との

見方が多い。

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 「必要量を調達できなければ、高く買うのもやむを得ない」--。

ある携帯電話機メーカーの調達担当者は価格より量の確保が

優先だと悟る。

 三洋電機、シャープなどカメラ部品メーカーは、松下通信工業や

NECなど携帯端末メーカー各社に対し、2003年1-3月期の大口

取引価格についてCCD(電荷結合素子)センサーモジュールが

30マン画素級で1個当たり3千円程度、CMOS(相補性金属酸化膜

半導体)モジュールが同2千円程度を提示。2002年10-12月期比

横ばい水準で価格交渉が進んでいる。

 現在もっとも多く市中に流通しているデジカメ用の主力、

2百万画素級のCCDセンサーモジュールの大口取引価格は1個当たり

千円を割り込んでいる水準だ。デジカメ用に比べると、携帯電話用

カメラ部品の取引価格は割高に思える。

 携帯電話機市場でカメラ部品が高値で取引されるのは、市場の

急成長に供給が追いつかないことが大きい。ハイテク調査会社などの

予測によると、カメラ付き携帯電話機の需要は2001年には400万台強

だったのが2002年には1,900万台前後になる見込みだ。2003年には

さらに約3,300万台に急増するとされ、2002年で2,300万台とされる

デジカメ市場を上回る最大のカメラ市場に成長する。

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 携帯電話市場では当初、省電力のCMOSが主流になるとの予測が

専らだった。このことが、CCDメーカー大手のソニー、松下電器産業、

シャープの小型CCD開発が出遅れてしまい、供給が伸びない一因と

なっている。

 ”CCD御三家”といわれる3社は、デジカメやビデオカメラ市場では

圧倒的なシェアを持つが、携帯電話が先行している。

 同社は独自の製法で、携帯電話機搭載できる小型CCDを開発。

今年から急速に市場での存在感を増している。ただ、同社は良品率が

低いことが課題で、製造技術を高めない限り、需要を満たせないのが

実情だ。

 一方、CMOSは富士通、松下電産など半導体各社が品ぞろえする。

CMOSはCCDより少ない電力で動作するのが強みで、品質面でも

CCDに大きく劣るわけではないが、需要家メーカー側の受けは

いまひとつ。デジカメで使うCCDの方が消費者になじみが深いといい、

国内では、「中期的にはCCDを補完する存在になる」(半導体メーカー)

との声が多い。

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 また、デジカメ向けより小型にしなければいけない分、歩留まりが

低くなることも供給量が増えない一因だ。現在、主流の30万画素級より

高画素の130万画素級の開発もカメラ部品メーカー各社は

取り組んでいるが、「良品率はさらに落ちる懸念がある」(半導体メーカー)

という。高画素化が急に進むと、カメラ部品の供給の伸びを抑える

懸念がある。