日経産業新聞 2002年11月18日の記事です。
カメラ部門、不況下で輝く
 カメラメーカー各社の収益構造が大きく変わってきた。

基幹事業ながらバブル期以降は収益減に苦しんでいた

カメラ事業部門が、デジタルカメラの需要急増で全体の利益を

先導する存在になってきたためで、不況下で輝きを増している。

 収益構造が最も大きく変化したのはニコンだ。2002年9月

中間期の連結売上高は2,151億円で、うちカメラ部門のある

映像事業は前年同期比39%増の1,291億円になった。
 同社は半導体や液晶表示装置(LCD)の製造に不可欠な

ステッパー(露光装置)の世界最大手。これまでこの半導体製造装置を

持つ精機事業がグループ最大の売上高を誇っていた。しかし2002年3月期

に映像の連結売上高が精機を225億円上回った。半導体メモリーの

好況で精機事業が映像事業を上回った89年3月以来、

13期ぶりの逆転劇だ。

 9月中間期はさらに、映像の売上高が精機の2倍以上に拡大。

営業利益も精機が100億円の赤字に対し、映像は154億円の

黒字になった。特に一眼レフデジカメなど高額機が好調で、今年5月に

赤字を見込んでいた2003年3月期連結営業利益は50億円の黒字に

回復する見通しだ。

 12月末に本決済を迎えるキャノンは1-9月期のカメラ事業が33%の

増収でデジカメに限れば81%「の大幅増。連結営業利益は2倍の

482億円と絶好調だ。通期のデジカメ出荷台数は450万台と、

昨年実績の220万台から2倍以上を予想する。

 18日に9月中期決算を発表する予定のオリンパス光学工業、

ペンタックスもカメラ部門の健闘ぶりが著しい。11日に決算予想の

上方修正を発表したオリンパスは、前期に約100億円の営業赤字だった

デジカメ事業が黒字に転換したもよう。
 4月発売の普及期「キャメディアC−2ズーム」が、「当初予定の

出荷台数の3倍となったうえ、8-10倍の高倍率ズームレンズ搭載機が

好調」(小宮弘取締役常務執行役員)。世界シェア7割と安定している

内視鏡事業の伸びもあり、中間期連結経常利益は5月時点の予想の

2倍、260億円になる見通し。

 ペンタックスが14日発表した業績予想修正では、銀塩フィルムカメラの

減少と情報技術(IT)関連部品・機器の落ち込みで中間期の

連結売上高は5月予想より7.6%減の508億となるが、デジカメの

急増と医療機器、レンズの拡大で経常利益は同45%増になると

上方修正した。前期比では2.1倍にもなる。