カメラ部門、不況下で輝く |
カメラメーカー各社の収益構造が大きく変わってきた。
基幹事業ながらバブル期以降は収益減に苦しんでいた
カメラ事業部門が、デジタルカメラの需要急増で全体の利益を
先導する存在になってきたためで、不況下で輝きを増している。
収益構造が最も大きく変化したのはニコンだ。2002年9月
中間期の連結売上高は2,151億円で、うちカメラ部門のある
映像事業は前年同期比39%増の1,291億円になった。
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同社は半導体や液晶表示装置(LCD)の製造に不可欠な
ステッパー(露光装置)の世界最大手。これまでこの半導体製造装置を
持つ精機事業がグループ最大の売上高を誇っていた。しかし2002年3月期
に映像の連結売上高が精機を225億円上回った。半導体メモリーの
好況で精機事業が映像事業を上回った89年3月以来、
13期ぶりの逆転劇だ。
9月中間期はさらに、映像の売上高が精機の2倍以上に拡大。
営業利益も精機が100億円の赤字に対し、映像は154億円の
黒字になった。特に一眼レフデジカメなど高額機が好調で、今年5月に
赤字を見込んでいた2003年3月期連結営業利益は50億円の黒字に
回復する見通しだ。
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12月末に本決済を迎えるキャノンは1-9月期のカメラ事業が33%の
増収でデジカメに限れば81%「の大幅増。連結営業利益は2倍の
482億円と絶好調だ。通期のデジカメ出荷台数は450万台と、
昨年実績の220万台から2倍以上を予想する。
18日に9月中期決算を発表する予定のオリンパス光学工業、
ペンタックスもカメラ部門の健闘ぶりが著しい。11日に決算予想の
上方修正を発表したオリンパスは、前期に約100億円の営業赤字だった
デジカメ事業が黒字に転換したもよう。 |
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4月発売の普及期「キャメディアC−2ズーム」が、「当初予定の
出荷台数の3倍となったうえ、8-10倍の高倍率ズームレンズ搭載機が
好調」(小宮弘取締役常務執行役員)。世界シェア7割と安定している
内視鏡事業の伸びもあり、中間期連結経常利益は5月時点の予想の
2倍、260億円になる見通し。
ペンタックスが14日発表した業績予想修正では、銀塩フィルムカメラの
減少と情報技術(IT)関連部品・機器の落ち込みで中間期の
連結売上高は5月予想より7.6%減の508億となるが、デジカメの
急増と医療機器、レンズの拡大で経常利益は同45%増になると
上方修正した。前期比では2.1倍にもなる。 |