ナショナル掛時計
ナショナル(松下電機製)掛時計が今社の休憩室に掛けられる様になって20数年以上になる。
クオーツ時計普及期の力作で、今の感覚からすると高価な買い物であった。この手の買い物は、今やうっかりすると千円以下であるが、このナショナル掛時計には七.八千円出費した様に記憶する。
ナショナル独自のモジュールは、今日のスタンダード、セイコー製やシチズン製とは違った設計哲学の様で、ステップモーター方式ではない。たえまなく秒針が運行する滑らかな動きは、逆に時代を感じてしまう。まだ高い金額が取れた時代の製品だけあって作り込みが丁寧であり、素材が高価な物なのであろう。まったく驚くべき耐久性である。単一型乾電池を3本使用する事などあまり経済的とは言えないが。
こうなって来ると、機械式柱時計の存在意義そのものに疑問を感じざるをえない。機械式時計の存在意義は、乾電池を使用しないなど、他の製造業への依存性の低さと、(結果環境への負荷が軽い)その驚異的な長寿命にある。この長寿命である事に対して機械時計は、思った程の優位性はないのかも知れない。