もの造り
 長い組み立てラインを築いて、大量の要員と熟練工を配置した、自動車産業などに顕著な従来型のもの造りの手法は、今、家電業界などのエレクトロニクス産業では、必要とされなくなりつつある。
デジタル機器の製造現場では、これらの手法は、必ずしも高い付加価値を生み出す源泉では、なくなって来ているのである。デジタル機器の製造原価の8割は、部品さらにその内の8割は、半導体が占めている。他社にまね出来ない高度な機能を、部品や半導体などのキーデバイスに埋め込むことが、製造価値を高める手法となっているのである。PC業界に顕著な様に、組み立て(アッセンブル機能)は、他社で行っても(EMS)どこの国で行っても、大した問題ではない。とする風潮は、この様に、技術的な裏付けがあっての潮流なのである。
今、日本のメーカーは、デバイス(部品)産業としての生き残りに必死である。部品を、ブラックボックス化し、特許など知的財産権や、独自技術を裏付けにして、どうやって製造を行ったのか、ライバル企業には、分からないような製造技術を指す。さらに、それらのデバイスを使った製造請負事業にも発展させたいと目論む。たんなるEMSではなく、独自技術を背景に、他社にまねの出来ないEMSで、付加価値を飛躍的に高めようと、目論んでいるのである。
これらの事に成功した時、日本の製造業は、かつての輝きを取り戻すにちがいない。
新たな匠の時代である。