道草 5  濱田庄司スタイル

自動車運転免許取り立ての娘が運転技術向上の旅に出たいと両親を振り回す日々が続いています。
日曜日の朝早くあてのない三人旅が始まりまして、これが真に楽しい事に気付きました、名付けて道草。

人生における道草とは一服の清涼剤の様なもの、様々な出会いは感性の彩でございます。
さて今回の道草は陶芸メッセ益子内の益子陶芸美術館で鉢合わせの濱田庄司スタイル展。
元々はパナソニック電工汐留ミュージアムの企画展で今年7月16日から9月25日まで汐留ミュージアムで開催の後ここ益子陶芸美術館で来年1月29日まで開催されます。
濱田庄司スタイルとは民芸運動の実践と言う事。
民芸運動とは雑誌白樺派の重鎮、柳宗悦が唱えた一種の思想活動で、普段何気なく使われている生活の道具の中に無作為の美を発見する高度な審美眼の事である。
多くの文化人が共鳴した、代表的な人物に濱田庄司や河井寛次朗、芹沢_介、棟方志功、金城次郎などがいる。
高度な審美眼と表現したのは重要な事と考えていて、これは一つ間違えると下手物趣味に陥ってしまうからだ。
どういう事かと言うと民藝の中に高度な美を発見できる物もあるが民芸運動そのものに盲目的に帰依してしまうと下手物の中にも美が有るように錯覚してしまうと言う事。
本当の審美眼が問われる場面で、場末の遊女に入れ揚げた旦那衆に目を覚ませと言うのと同じ位、事は難しくなるのである。
そこで濱田庄司スタイルといこう!!本物の民芸運動に出会えるからである。
しかしそれにしても濱田庄司の民藝スタイルは偉大である、多くの影響を今日でも日常に感じる事が出来る、人気の居酒屋や蕎麦屋、予約が取れない温泉宿や和食料理店、どれだけ多くの店が濱田庄司スタイルなんだろうか、我々の日常は濱田庄司と魯山人だらけである。








濱田邸









益子陶芸美術館入口

濱田庄司スタイル開催にあたりお孫さんである濱田友緒さんが文章を寄せています大変素晴らしい見識と感じました、冒頭部分を紹介いたします。
「濱田庄司はプラスの人である。その人生は常に収穫、出会い、体得の連続であった。庄司は民芸運動などを通して、日本中、世界中の様々な場所へ赴き沢山の友人、知人から知遇を得、膨大な量の工芸品、民芸品を集め、これらの出会いから得た栄養を生活や作陶の糧として活かしていった。住居、工房も年々棟を増やしていき、晩年はさながら工芸村の様相を呈していた。庄司のプラス生活と人生を棟方志功は無尽蔵と評していた」

濱田庄司作 刷毛目

濱田庄司作 掻き落とし

唐津

アメリカ

アメリカ

美濃

瀬戸

濱田庄司が沖縄で製作の赤絵碗







今回の展示会を拝見して改めて思ったのですが濱田庄司といえども40代50代の若いころの作品の方が力が有りますね。
若いころの作品にはこうした機会以外になかなか御目に掛かれませんが改めて良いです。
濱田庄司以外の河井寛次朗、芹沢_介、棟方志功、金城次郎なども若い時の物の方が力もアイデアも技量も有ります。
各人共に晩年に近くなるほどにスタイルは確立して行くのですがワンパターンになり量産化もしてきます。
やはり求められれば作ってあげたいのが人情です、しかしそこにはかつてほどの情熱や技量や体力が伴いません、それでも有名人になっていますから御弟子さんが沢山いて量産化に拍車が掛かるものと思われます。

二階の常設展示



以下は有名な益子の山水土瓶



















      2011−12−4