フィルムカメラの命運

デジタルカメラの普及によってフィルム業界は激震に見舞われている。
フィルムカメラの出荷台数はピ−ク時の10分の1。
フィルムプリントの年間売り上げは3分の1だそうである。
プリントがカメラ本体の売り上げ減に比べ緩やかなのは、使い捨てカメラの貢献によるものと思われる、しかしこれもいつまで続くものやら。
一方でデジタルカメラの国内出荷台数は年間約900万台、かつてのフィルムカメラのピ−ク500万台を上回っている、バカ売れなのだ、三種の神機ともてはやされるのも頷ける。
しかも好業績なのはキャノン ソニ− パナソニック カシオ ニコンの5社だけなのだからこの5社はさぞかし忙しいに違いない。
フィルムカメラの時代には、ざっと考えただけで10社程のプレイヤ−があったのだからこの5社は一人勝ちならぬ5人勝ちだ。

それにしてもフルムカメラ全盛の時代よりも今のデジタルカメラの方が売れている事に驚きを隠せない。
あの頃の日本は高度成長時代で物が売れまくっていたのではなかったでしたっけ、それがカメラに限れば今は当時の倍近くを当たり前のように売りさばく時代なのです。
おそらくカメラ以外にもこうした現象が多々見られるのではないでしょうか。
これで不況とはなんだかおかしい。
やはり平成不況とはデフレ不況なのだ、つまり勝ち組と負け組みが残酷なほどはっきりし、忙しくてもさっぱり儲からない業種が存在する。
新技術 新サービスに追随できたものとできなかったもの、社会変革の大きなうねりが平成不況なのである。
写真業界を見てもその片鱗をうかがい知ることができる、町の写真屋はピ−ク時3万3000店あったそうである、今日その数は2万5000店、現在でも年間数千店のペ−スで減り続けており最終的には1万店まで激減するといわれている。

私は一消費者としてどう感じているかというと、30年前からフィルムカメラ一筋、フィルムカメラの長所、短所を判った上で写真はその記録性が身の上、歴史的記録も個人的記録も含めて永遠性が大切と感じているので、相変わらずフィルムカメラ一筋なわけです。
これは大切な事です、たとえば貴方はロダンの作った氷の彫刻を買いますか?
その芸術性を認めたとしても決して買わないはずです。
規格がころころ変わるデジタル文化にいま一つ乗れないのは以上の理由によります。
更にはフィルムカメラは色の再現性において一日の長がありまだまだデジタルへの移行は無いと感じています。

ところが今回、町会の備品という形で最新型キャノンIXYdigtal55に触れる機会に恵まれました。
これは使える!!!
フィルムカメラ原理主義者には受け入れがたい事実です。
使い勝手がよく小型、画質も申し分なし、ランニングコストは事実上0円。
これで売れないわけがない、まったくの脱帽です。
そろそろ古い価値観は捨て去らないといけませんね。