明治大学博物館



明治大学博物館で「東アジアと海のシルクロードの拠点福建」展が開かれている。
華僑の故郷として古から世界に開かれていた福建省の古代より明・清にわたる文物を世界に先駆けて公開している。
福建は日本とも関係が深い、多くの文物が福建発で我が国に齎されただけでなく日本からの高僧、空海や円珍や遣唐使が福建に出入りしている。
福建省は中国茶の故郷である、遠く宋の時代には福建茶は最高級茶として皇帝に献上されていた、その後元の時代になると武威山での生産が盛んになり福建茶は消滅する。
福建茶の生産がどこで行われていたのか長い間の謎であったが1989年に遺構が発見されている。
もう一つ福建省といえば天目茶碗の故郷としても有名で建窯は一大ブランドである。
茶と天目碗この二つがリンクすれば日本の茶道がどの様なルーツで我が国に伝わったのか自ずと推測できることになる、福建経由で伝わった茶文化はその後我が国で茶道として昇華され世界に誇る詫び寂びの文化が形成されたのである。
静嘉堂文庫の曜変天目はあまりにも有名で天目茶碗と言えば建窯との図式が出来上がった。
しかし天目茶碗は建窯以外でも福建省全域で生産されており天目型は建窯の形と言うよりこの時代の福建省に有った窯全体の様式なのである。
建窯以外の天目茶碗は今日まで日本に紹介されることがほとんどなく先進的な骨董商が極少量仕入れていた、文献も中国の物以外頼りにならず四苦八苦して翻訳していたものである。
今回の展覧会では初めてこうした天目茶碗が学術的考察を添えて展示されている大変に感激したし有意義なことだと感じた。










                               2009−5−2