百貨店と趣味の大衆化

日比谷図書館文化館の日比谷カレッジ恒例の勉強会です。
今回のお題は「百貨店と趣味の大衆化」です、どういう内容かと言うと明治の世を迎えて消費をリードした中流階級、この階層に向けた様々な良い物が百貨店を中心に販売され新しい消費社会を形成した話。
今回の講義で言う中流階級とは明治時代になり企業が出現した事により登場した新しい階層である高学歴ホワイトカラーを指します。
この中流階級は財閥創業者や大名の子孫などの上流階級ほどには本格的な良い物を買えない訳ですが、一方で社会経済運営の主役であったこの階層は、その圧倒的多数で圧倒的購買力の担い手であった訳です、そうした彼らの購買意欲を一手に引き受けたのが百貨店であり、現代社会の消費文化を形成したとの事です。
中流階級に向けた良い物とは趣味の良い調度品や江戸趣味の家具、現代作家の陶磁器や漆器、存命の有名画家による掛け軸などです、これ以外にもセンスの良い背広、女性向けのファッションアイテム、高級子供服や雛人形などがあります。
一方、上流階級が求めた本格的な良い物とは古美術品や茶道具の事で価格の問題以外に真贋の問題が有り、高い教養が求められた世界で百貨店といえどもおいそれとは扱えなかったジャンルの物です。
この手の話は二時間余りの内容を掻い摘まなければならずブログには不向きなのですが今回は大変面白かったので紹介しました。

2016-3-27