HDR

 TV録画用HD(ハードディスク)レコーダーが米国で普及しつつある事を新聞が伝えている。日本発であるVTRに取って変わる勢いだそうだ。ヤマダ電機の新聞折込チラシを見れば解る様に、HDレコーダーそのものはすでに3年程前から有る。最近は安売商品に名を連ねる様だから日本でもそれなりに普及しているのだろう。
『日本ではHDレコーダー単体で浸透しつつあるのとは異なり、PVR(米国版HDR)はネットワークを利用した利便性が特長だ』(日経産業新聞)。
 以上の様に日米では価値の所在が異なる様だ。モノづくり大国、日本及び日本企業は、商品そのものに価値を見出し、その作り込みに力を注ぐ。 結果的に高品質で凝った物になる。
 しかし少し考えてほしい。HDレコーダーの心臓部分であるHD(ハードディスク)そのものは、部品として各国で造られ、(日・米・台湾・韓国・中国製・ASEANなど)世界中で入手出来る。HDが入手出来ればあとは組み立てるだけで製品として、凝る余地がそれ程ある訳ではない。今日の電機製品はおしなべて以上の様な傾向にあるのである。ここに日本企業の焦りがあり、中国企業の出る幕があるのである。
 米国企業は物としてのHDレコーダーそのものに凝る事なく、ネットワークの利用、新しい使用法の提案(ソリューション)、新市場の創出などに力を入れて利益の源泉をイノベーションする。物は中国に造らせておけばよいといさぎよい。
 ハードからソフトの時代へ。
 これ程解り易い事例も少ないのではないか。さらに顧客の情報を収集出来る事によりその気になれば他人に売れる価値を持つデーターをつくる事が出来ると言う。
『リプレイTVは、ユーザーがどんな番組を見てどんなCMを抜かすのかを記録して、ユーザーの好みの傾向を割り出すことができる。この機能を活用すれば、広告主がユーザーの傾向に応じたCMを送ることが可能になる。』
『放送局はそのうち私達と提携し、新しいビジネスモデルを作り出すだろう。たとえば、私たちが放送局のすべての番組をサーバーに録画し、ユーザーが見逃した番組があればそれを2ドルで売って、その半分を放送局が取得できるようにするといった仕組みが考えられる。』(ソニックブルー社長・ポタシュナー氏 日経産業新聞)
 今の製造業に求められているのは良い製品を造れる技術者ではなく製品の良い使い方を提案出来る技術者なのである。
SONY Hi-Fiオーディオカタログより
パイオニアのカタログより
コンテンツ業界 主導権
TV録画用「HDレコーダー」