E・Pマーク入りキャノンAE−1P
1940年代後半から1950年代にかけて、日本製カメラの多くにE・Pマークの付いた物がある。
聞いた話では、このE・Pマークは、当時日本のメーカーがアメリカ軍PXに納入される物に付けられたものであったらしい。今でこそ、大手メーカーから中小のメーカーにいたるまで、出先機関として各国に営業所を所有しているが、戦後間もない日本では、夢のまた夢であった。
そこで、手取り早い輸出の方法として、PXに納品する事が商売として旨味もあったし、またメーカーとしてのステータスにもなった様である。米軍御用達とでも言った所であろうか。
実際PXに納入するには、それなりの審査が有り、実績、技術力等が問われた様である。その証拠に、当時花盛りであった弱小メーカーの製品に、このE・Pマーク付きの物は見当たらない。E・Pマークがあたえられた製品は、米軍の圧倒的な機動力に便乗して、世界中にバラ撒かれていった。
このE・Pマークの最後期の製品がキャノンPあたりで、1961年位まで盛んであったようである。その後の製品で、E・Pマーク付きの物は見たことがなく、1965年あたりで消滅したものと考えていた。時期同じく、日本の高度成長経済が始まっており、日本メーカーは、自力で輸出に力を注ぐようになったとも考えられる。
しかし昨年とつじょとして、目の前にE・Pマーク入りAE−1Pが現れた。沖縄光精堂の店先である。AE−1Pは、1978年の発売である。という事は、このE・Pマーク制度はつい最近まで施行されていたらしい。これには正直驚いた。こんな話は、耳をそば立て、目を皿にしている私でさえ、聞いた事が無かったのである。さらに驚くのは、この時代の他のニコン製品や、キャノン製品の多くに、このE・Pマーク付きの物が有ると言うのである。新製品でE・Pマークが付かなくなったのは、つい最近の事と店主は言った。